この研究でわかったこと(3行まとめ)
- 日本人783人に、鼻の角度だけを変えた顔の画像を見てもらい、「美しい」「ふつう」「美しくない」で評価してもらいました。
- 最も「美しい」と評価されたのは、男性の顔では鼻唇角95°・鼻顔面角33°、女性の顔では鼻唇角105°・鼻顔面角30°でした。
- 評価は、見る人の年齢や性別では変わりませんでした。ただし参加者の88.5%が女性で、1施設の関係者が中心のため、「日本人全体の好み」とはいい切れません。
「鼻の手術で、どんな角度が自然で美しいの?」――鼻の美しさの基準は国や文化で違い、欧米の基準をそのまま日本人にあてはめることはできません。ところが日本人を対象にした大規模なデータはありませんでした。この記事では、783人の評価から日本人が好む鼻の角度を調べた私たちの研究を紹介します。
論文の基本情報
| 論文タイトル(原題) | Ideal Nasal Angle Preferences Among Japanese People: A Prospective Observational Study on Aesthetic Perception |
|---|---|
| 日本語訳 | 日本人における理想的な鼻の角度の好み:美的認知に関する前向き観察研究 |
| 掲載誌 | Aesthetic Surgery Journal Open Forum(米国美容外科学会 The Aesthetic Society のオープンアクセス誌) |
| 掲載 | 2025年6月24日 オンライン公開/第7巻 ojaf052 |
| 著者 | Kohki Okumura(奥村公貴・筆頭著者), Takahiko Tamura, Yusuke Funakoshi, Hiroo Teranishi |
| 研究デザイン | 前向き観察研究(アンケート調査) |
| 対象 | 2024年7〜10月に回答した18歳以上の日本人783人 |
| DOI | 10.1093/asjof/ojaf052 |
なぜこの研究を行ったのか
鼻の手術では、2つの角度がよく使われます。鼻唇角(びしんかく)は鼻の下と上唇がつくる角度で、大きいほど鼻先が上を向いて見えます。鼻顔面角(びがんめんかく)は、横から見たときの鼻すじの傾きで、大きいほど鼻が高く見えます。
欧米では鼻唇角は男性95〜100°、女性103〜108°が理想とされてきましたが、日本人では約118°という報告もあり、研究によって大きくばらついていました。参加者が少ない、特定の集団に偏っているといった問題があったためです。そこで、多くの日本人に同じ条件で評価してもらうことにしました。
どのように調べたのか
- 画像:美容手術を受けたことのない日本人の男性(42歳)と女性(29歳)の横顔を3D撮影し、画像処理で鼻唇角(95°・105°・115°)と鼻顔面角(27°・30°・33°)だけを変えた12枚を作りました。
- 評価者:美容クリニックのスタッフと、調査会社を通じて集めた会社員など783人。女性88.5%、25〜29歳が最多(41%)。
- 方法:画像をランダムな順番で見せ、「美しい」(3点)「ふつう」(2点)「美しくない」(1点)で評価。点数の差を統計的に比べました(Steel–Dwass検定)。
- 補足:角度ごとの点数を重みにして「平均的な理想角度」も計算しました。
結果

- 男性の顔:鼻唇角は95°が最も高評価(105°が最も低評価)。鼻顔面角は33°が最も高評価。
- 女性の顔:鼻唇角は105°が最も高評価(115°が最も低評価)。鼻顔面角は30°が最も高評価。
- 見る人の性別・年齢:男性が見ても女性が見ても、どの年代でも、好みの傾向は同じでした。
- 職業による違い:女性の顔の鼻唇角105°と115°について、受付や看護助手など人と接する仕事の人のほうが、会社員よりやや高く評価する傾向がありました。
- 補足:点数を重みにして計算した「平均的な理想」は、男女とも鼻唇角105°・鼻顔面角30°でした。男性の顔の105°は、最高点と最低点の両方をつけた人が多く、評価が割れた角度でもありました。
患者さんにとっての意味
この研究からいえるのは、日本人が「美しい」と感じる鼻の角度は、男女で違うということです。男性の顔では鼻先がやや下がり気味(鼻唇角95°)で鼻すじがしっかり出ている(33°)ほうが、女性の顔ではやや上向き(105°)で控えめな高さ(30°)が好まれました。欧米の基準とおおむね重なりますが、過去に日本人で報告された118°よりはかなり鋭い角度で、好みが変化している可能性があります。
ただし、これは「平均的な好み」であって、あなたの顔に最適な角度ではありません。鼻の角度は、額、あご、唇とのバランスで印象が決まります。この数字は、「どんな鼻にしたいか」を医師と話すときの共通の言葉として使ってください。
この研究の限界
- 評価者の偏り:88.5%が女性で、18〜40歳が大半。また1つの医療グループの関係者が多く含まれています。日本人全体の好みを表しているとはいえません。
- 画像が男女1人ずつ:顔全体のバランスが評価に影響した可能性があります。
- 画像処理の限界:角度を変えると、鼻の長さや上唇の傾きもわずかに変わってしまい、特に男性の画像で評価に影響した可能性があります。
- 2つの角度を別々に評価:実際の鼻は両方の角度の組み合わせで印象が決まりますが、組み合わせは調べていません。
- エビデンスレベルは5:好みのアンケートであり、手術の結果を評価した研究ではありません。
施術に伴う主なリスク・副作用
鼻の手術(隆鼻術・鼻尖形成・鼻中隔延長など):腫れ、内出血、痛み、左右差、希望と違う形になること、プロテーゼの輪郭が浮く・ずれる、感染、皮膚の赤み・薄くなること、鼻づまり、感覚の鈍さ、修正手術が必要になることなどがあります。
※効果や経過には個人差があります。
原著論文
Okumura K, Tamura T, Funakoshi Y, Teranishi H. Ideal Nasal Angle Preferences Among Japanese People: A Prospective Observational Study on Aesthetic Perception. Aesthet Surg J Open Forum. 2025;7:ojaf052. doi:10.1093/asjof/ojaf052(PubMed)
本記事は、学術論文の内容を一般の方向けに解説したものであり、特定の施術を推奨するものではありません。施術の適否は医師の診察のうえで判断してください。
執筆:奥村公貴(美容外科医・本論文筆頭著者)/最終更新:2026年10月26日

