二重埋没法は何年もつ?連続法と2点留めを1,000人・4年間で比べた結果

この研究でわかったこと(3行まとめ)

  • 二重埋没法を受けた1,000人(連続法500人・2点留め500人)を4年間追跡し、再手術の割合を比べました。
  • 再手術になった人は、連続法で13.4%、2点留めで26.2%。2点留めは連続法の約2.1倍、再手術になりやすいという結果でした。
  • 再手術の理由の約8割は「糸のゆるみ」でした。ただし1つの医療グループのデータで、満足度やまぶたの厚みは調べていません。

「埋没法は取れやすいと聞くけれど、どのくらい持つの?」「連続法と2点留め、どちらが長持ちするの?」――二重埋没法のカウンセリングで、必ずといっていいほど聞かれる質問です。この記事では、2つの術式を4年間追いかけて比べた私たちの研究を紹介します。

目次

論文の基本情報

論文タイトル(原題)Comparison of Long-Term Stability Between Continuous and Two-Point Buried Suture Methods in Double Eyelid Surgery: A 4-Year Retrospective Cohort Study of 1000 Cases
日本語訳二重埋没法における連続法と2点留めの長期安定性の比較:1,000例・4年間の後ろ向きコホート研究
掲載誌Aesthetic Plastic Surgery(国際美容外科学会 ISAPS の公式学術誌)
掲載2025年6月 オンライン公開/2025年 第49巻15号 4200–4205ページ
著者Kohki Okumura(奥村公貴・筆頭著者), Takahiko Tamura, Taichi Tamura, Yusuke Funakoshi, Hiroo Teranishi
研究デザイン後ろ向きコホート研究(過去の診療記録をさかのぼって追跡)
対象2020年10〜11月に二重埋没法を受けた1,000人(各術式500人)
DOI10.1007/s00266-025-05024-2

なぜこの研究を行ったのか

二重埋没法は、皮膚を切らずに糸でまぶたを留めて二重のラインを作る手術です。ダウンタイムが短く、東アジアでとても多く行われています。ただ、糸で留めている以上、時間がたつとラインが薄くなったり消えたりすること(「戻り」)があり、そのときは再手術が必要になります。

留め方には大きく分けて、連続法(1本の糸をまぶたの中でジグザグに通し、1か所で結ぶ)と、2点留め(2か所をそれぞれ別の糸で留める)があります。どちらを使うかは医師の経験で決まることが多く、「どちらが長持ちするか」を直接比べた研究はほとんどありませんでした。

二重埋没法の連続法と2点留めの糸の通し方を示した断面図
左(a):連続法。1本の糸をa→b→c→dと通し、1か所で結ぶ。右(b):2点留め。a’–b’、c’–d’をそれぞれ別の糸で留め、2か所で結ぶ。原著論文Fig. 1より。

どのように調べたのか

  • 対象:全国展開する美容外科グループで、2020年10月18日〜11月28日に二重埋没法を受けた人の中から、連続法500人・2点留め500人を、手術にも解析にも関わっていない医師が無作為に選びました。
  • 除外:眼瞼下垂の手術や目頭切開などを同時に受けた人は、純粋な術式の比較のために除きました。
  • 追跡:2024年11月28日まで、最長4年間。再手術の有無、再手術までの日数、再手術の理由を調べました。
  • 糸:連続法は7-0プロリーン(ポリプロピレン)、2点留めは7-0ナイロン。
  • 統計:カプラン・マイヤー法(時間とともに「再手術なし」の割合がどう減るかを描く方法)と、コックス比例ハザードモデル(年齢・性別の影響を取り除いて、術式そのものの影響を見る方法)を使いました。

結果

平均年齢は25.9歳、女性が93.4%でした。年齢に差はありませんでしたが、男性の割合は2点留めのほうがやや高めでした(10.0%対3.2%)。

連続法と2点留めの4年間の再手術率の比較。連続法13.4%、2点留め26.2%
4年間の再手術率と、そのうち糸のゆるみが理由だった割合。原著論文のデータをもとに作図。
  • 再手術率:連続法13.4%(67人)、2点留め26.2%(131人)。
  • 再手術の理由:全体の81.9%が糸のゆるみ。糸のゆるみによる再手術は、連続法8.2%、2点留め23.4%。
  • 再手術までの期間:中央値で連続法406日、2点留め481日と、大きな差はありませんでした。
  • 年齢・性別の影響を除いた解析:2点留めは連続法に比べて再手術のリスクが約2.1倍(ハザード比2.12、95%信頼区間1.58–2.86)。年齢と性別は影響していませんでした。

患者さんにとっての意味

この研究からいえるのは、同じ埋没法でも、糸の通し方によって4年後に二重が残っている割合がはっきり違うということです。連続法は糸がまぶたの中で広い範囲に接するため、力が1か所に集中しにくく、ゆるみにくいと考えられます。

ただし、「連続法なら必ず持つ」わけではありません。連続法でも4年で約13%の人は再手術をしています。また、2点留めには、戻したいときに糸を外しやすいという利点もあります。どちらを選ぶかは、まぶたの厚み、希望する二重の幅、将来の変更のしやすさを含めて、診察で相談するのが現実的です。

この研究の限界

  • 1つの医療グループのデータ:全国のクリニックから集めたとはいえ、同じグループ内です。ほかの施設でも同じ結果になるかは確認が必要です。
  • 糸の素材も違う:連続法はプロリーン、2点留めはナイロンを使っています。差の一部は、通し方ではなく糸の素材によるものかもしれません。
  • 満足度は調べていない:「再手術したかどうか」で判断しているため、見た目の仕上がりや患者さんの満足度はわかりません。
  • まぶたの厚みや二重の幅は考慮していない:これらは戻りやすさに影響する要因ですが、記録がそろっていなかったため解析できませんでした。

施術に伴う主なリスク・副作用

二重埋没法:腫れ、内出血、痛み、左右差、二重のラインが薄くなる・消える(戻り)、糸の露出、感染、目のゴロゴロ感、希望と違う幅になることなどがあります。戻りが起きた場合は再手術が必要になることがあります。

※効果や経過には個人差があります。

原著論文

Okumura K, Tamura T, Tamura T, Funakoshi Y, Teranishi H. Comparison of Long-Term Stability Between Continuous and Two-Point Buried Suture Methods in Double Eyelid Surgery: A 4-Year Retrospective Cohort Study of 1000 Cases. Aesthetic Plast Surg. 2025;49(15):4200-4205. doi:10.1007/s00266-025-05024-2(PubMed)

本記事は、学術論文の内容を一般の方向けに解説したものであり、特定の施術を推奨するものではありません。施術の適否は医師の診察のうえで判断してください。
執筆:奥村公貴(美容外科医・本論文筆頭著者)/最終更新:2026年10月26日

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次