傷が残らない「経結膜法」の二重埋没法、持ちはどう違う?3つの術式を1,500人で比較

この研究でわかったこと(3行まとめ)

  • 二重埋没法の3つの術式――連続法・2点留め・経結膜法(皮膚側に針穴を作らない方法)――を各500人、計1,500人で4年間追跡し、再手術率を比べました。
  • 再手術率は連続法13.4%、経結膜法19.4%、2点留め26.2%。2点留めと比べて、連続法は再手術のリスクが54%低く、経結膜法は28%低いという結果でした。
  • 経結膜法は皮膚に傷が残らない利点がある一方、左右差や幅の修正での再手術が他の術式より多めでした。

以前の記事で連続法と2点留めを比べましたが、埋没法にはもう一つ、皮膚側に針穴を作らず、まぶたの裏側(結膜側)だけから糸を通す「経結膜法」があります。「傷が残らないのは魅力だけれど、持ちはどうなの?」という質問に答えるため、3つの術式を同じ条件で比べた研究を紹介します。

目次

論文の基本情報

論文タイトル(原題)Comparison of long-term stability among continuous, two-point, and transconjunctival buried suture methods in double-eyelid surgery: a 4-year retrospective cohort study of 1,500 cases
日本語訳二重埋没法における連続法・2点留め・経結膜法の長期安定性の比較:1,500例・4年間の後ろ向きコホート研究
掲載誌Archives of Aesthetic Plastic Surgery(韓国美容外科学会の公式学術誌)
掲載2025年7月31日 オンライン公開/第31巻3号 61–67ページ
著者Kohki Okumura(奥村公貴・筆頭著者), Takahiko Tamura, Yusuke Funakoshi, Hiroo Teranishi
研究デザイン後ろ向きコホート研究
対象2020年10月18日〜11月28日に二重埋没法を受けた1,500人(各術式500人)
DOI10.14730/aaps.2025.01354

なぜこの研究を行ったのか

二重埋没法の術式は医師の経験で選ばれることが多く、長期の「持ち」を直接比べたデータはほとんどありません。特に経結膜法は、皮膚に針穴を作らないため傷跡の心配がなく、腫れも少ないとされますが、長期の安定性を他の術式と比べた研究はありませんでした。

どのように調べたのか

  • 対象:全国100院以上の美容外科グループで2020年10〜11月に埋没法を受けた人から、連続法・2点留め・経結膜法を各500人、研究に関わらない担当者が無作為に選びました。
  • 術式:連続法は7-0プロリーンを皮下と結膜側に通して1か所で結ぶ方法。2点留めは6-0ナイロンで2か所を別々に留める方法。経結膜法は7-0プロリーンを結膜側からだけ通し、皮膚側には針穴を作らない方法。
  • 追跡:2024年11月28日まで、最長4年。再手術の有無・時期・理由を調べました。
  • 統計:カプラン・マイヤー法とコックス比例ハザードモデル(年齢・性別の影響を取り除く方法)。

結果

平均年齢26.1歳。女性の割合は連続法96.8%、2点留め90.0%、経結膜法90.4%でした。

連続法13.4%、経結膜法19.4%、2点留め26.2%の再手術率を比べた棒グラフ
4年間の再手術率(各500人)。原著論文のデータをもとに作図。
  • 再手術率:連続法13.4%、経結膜法19.4%、2点留め26.2%(p<0.001)。
  • 二重が残っている割合(1,000日時点):連続法81%、経結膜法72%、2点留め65%。
  • 年齢・性別の影響を除いた解析:2点留めを基準にすると、連続法はハザード比0.46(リスク54%減)、経結膜法は0.72(28%減)。年齢・性別は影響していませんでした。
  • 再手術の理由:糸のゆるみは2点留め117人、経結膜法50人、連続法42人。一方、左右差(21人)と幅の修正(15人)による再手術は経結膜法で最も多く、連続法(8人・8人)、2点留め(4人・2人)を上回りました。

患者さんにとっての意味

経結膜法は「傷が残らない」という利点と引き換えに、持ちは連続法に一歩譲ります。ただし2点留めよりは安定していました。また、再手術の理由を見ると、経結膜法では糸のゆるみよりも「左右差」「幅を変えたい」が目立ちます。皮膚側から確認せずに糸をかけるため、仕上がりの微調整が難しいことを反映していると考えられます。

「傷跡を絶対に残したくない」「腫れを最小限にしたい」なら経結膜法、「できるだけ長持ちさせたい」なら連続法、という使い分けが、この研究から導かれる現実的な考え方です。

この研究の限界

  • 1つの医療グループのデータ。
  • 糸の素材が術式によって違う:2点留めだけナイロン、他はプロリーンです。
  • 満足度・まぶたの厚みは考慮していない。
  • 論文内の数値に小さな食い違いがある:再手術の合計が本文283人・表295人など、本文と表で一致しない箇所があります。この記事では表の数値を使っています。

施術に伴う主なリスク・副作用

二重埋没法:腫れ、内出血、痛み、左右差、二重のラインが薄くなる・消える(戻り)、糸の露出、感染、目のゴロゴロ感、希望と違う幅になることなどがあります。

※効果や経過には個人差があります。

原著論文

Okumura K, Tamura T, Funakoshi Y, Teranishi H. Comparison of long-term stability among continuous, two-point, and transconjunctival buried suture methods in double-eyelid surgery: a 4-year retrospective cohort study of 1,500 cases. Arch Aesthetic Plast Surg. 2025;31(3):61-67. doi:10.14730/aaps.2025.01354

本記事は、学術論文の内容を一般の方向けに解説したものであり、特定の施術を推奨するものではありません。施術の適否は医師の診察のうえで判断してください。
執筆:奥村公貴(美容外科医・本論文筆頭著者)/最終更新:2026年10月26日

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