目の下の脱脂は誰が受けている?12万人のデータでわかった年齢の変化と、持病・薬の注意点

この研究でわかったこと(3行まとめ)

  • 目の下のくま・ふくらみに対する経結膜脱脂を受けた127,505人(2020年10月〜2024年4月、全国100院以上)を分析しました。
  • 件数は毎年倍増して2023年に7万件を超え、受ける人の年齢の中央値は43歳。年々高くなっています。92.2%が脂肪の「全摘」、7.8%が「部分摘出」でした。
  • 年齢が上がるにつれて、高血圧・緑内障・網膜疾患のある人や、ステロイド・抗凝固薬を飲んでいる人が増えており、術後出血などのリスク管理がより重要になっています。

「目の下の脱脂は、どんな年代の人が受けているの?」「持病があっても受けられる?」――この記事では、12万人超のデータから、経結膜脱脂を受ける人の変化を分析した研究を紹介します。私は共著者として関わりました。

目次

論文の基本情報

論文タイトル(原題)Demographic Data of Orbital Fat Removal for Dark Circles Under Eyes in Nationwide Cosmetic Surgery Group
日本語訳全国美容外科グループにおける目の下のくまに対する眼窩脂肪除去の人口統計データ
掲載誌Plastic and Reconstructive Surgery – Global Open(米国形成外科学会 ASPS のオープンアクセス誌)
掲載2025年2月7日 オンライン公開/第13巻2号 e6528
著者Takahiko Tamura, Yusuke Funakoshi, Hiroshi Okuma, Yoshiyuki Furuichi, Taichi Tamura, Takumi Fuse, Masaki Toma, Kohki Okumura(奥村公貴・共著者), Hiroo Teranishi
研究デザイン後ろ向き解析(多施設)
対象2020年10月〜2024年4月に経結膜脱脂を受けた127,505人
DOI10.1097/GOX.0000000000006528

なぜこの研究を行ったのか

経結膜脱脂(まぶたの裏側から目の下の脂肪を取る手術)は、日本で急速に増えています。このグループでは、全施術に占める割合が2018〜2021年の4.2%から、2021〜2023年には11.5%に上がりました。しかし、受けている人の年齢や持病の実態を示すデータはなく、安全に行うための基礎情報として整理することが目的でした。

どのように調べたのか

  • データ:2020年10月〜2024年4月に経結膜脱脂を受けた127,505人の年齢、性別、職業、手術の種類(全摘/部分摘出)、持病、服用薬。
  • 含めたもの:脂肪注入やヒアルロン酸との併用例も含む。脂肪を移動させる手術(ハムラ法など)は除外。
  • 統計:年ごとの比較にカイ二乗検定とTukeyの多重比較。

結果

性別女性約86%、男性約13%
職業会社員46.2%、主婦(主夫)10.4%、その他9.9%
年間件数毎年ほぼ倍増し、2023年に7万件超。2024年は横ばい。
年齢中央値43歳(四分位範囲33〜51歳)。2022〜2024年は2020〜2021年より有意に高く、2024年で頭打ち。
手術の種類全摘92.2%(平均42.4歳)、部分摘出7.8%(平均36.7歳)。全摘を受ける人のほうが年齢が高い。
持病高血圧・緑内障・網膜疾患が毎年増加。2024年時点で1,000人あたりそれぞれ約8.4人、5.6人、2.8人。
服用薬ステロイド内服は月2.7人(2020〜2023年)→月26.5人(2023〜2024年)。抗血小板薬・抗凝固薬は月2.2人→月10.8人。

患者さんにとっての意味

経結膜脱脂は、40代以上の方にとって、すでに一般的な選択肢になっています。一方で、この記事を読んでいる方に知ってほしいのは、年齢が上がるほど「安全に受けるための条件」が増えるということです。

  • 緑内障・網膜疾患がある方:手術中に眼圧が上がると、まれに重大な視力障害につながる可能性があります。閉塞隅角か開放隅角かを含め、眼科の情報を必ず伝えてください。
  • 抗凝固薬・抗血小板薬・ステロイドを飲んでいる方:経結膜脱脂で最も注意すべき合併症は術後の眼窩内出血(目の奥の出血)で、まれですが視力に関わります。これらの薬は出血のリスクや重症度を上げるため、休薬の可否を主治医と相談する必要があります。
  • 高血圧の方:手術中の血圧管理が必要です。

論文では、問診の徹底、高血圧の方の術中血圧モニタリング、出血リスクの高い方の術後観察時間の延長、ガイドラインに沿った抗凝固薬の休薬を、安全対策として挙げています。

この研究の限界

  • 1つの医療グループのデータ:グループの拡大(都市部から地方へ)が、患者層の変化に影響しています。
  • 職業・持病は問診票による自己申告:正確でない可能性があります。
  • 合併症との関係は調べていない:持病や薬と術後出血の関係は、この研究では分析されていません。
  • 満足度や効果は評価していない。

施術に伴う主なリスク・副作用

経結膜脱脂:腫れ、内出血、痛み、左右差、取りすぎによるくぼみ、取り残し、結膜の充血・浮腫、ドライアイ、一時的な複視などがあります。まれに、目の奥の出血(眼窩内出血)により視力に影響することがあり、緊急の処置が必要になります。

※効果や経過には個人差があります。

原著論文

Tamura T, Funakoshi Y, Okuma H, Furuichi Y, Tamura T, Fuse T, Toma M, Okumura K, Teranishi H. Demographic Data of Orbital Fat Removal for Dark Circles Under Eyes in Nationwide Cosmetic Surgery Group. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2025;13(2):e6528. doi:10.1097/GOX.0000000000006528(PubMed)

本記事は、学術論文の内容を一般の方向けに解説したものであり、特定の施術を推奨するものではありません。施術の適否は医師の診察のうえで判断してください。
執筆:奥村公貴(美容外科医・本論文共著者)/最終更新:2026年10月26日

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